京都の中心地・四条烏丸からほど近い所に癌封じ(ガン封じ)や病気平癒で有名な『平等寺』、通称『因幡堂(いなばどう)』があります。
狂言演目の『因幡堂』、『鬼瓦』の舞台にもなっており、幾度の火災で燃えていますが1000年以上、同じ場所に残っている庶民から愛されている寺です。
人々の『日々健康に過ごせますように』という想いに耳を傾けてくださる薬師如来がお祀りされている『因幡堂』を今回は分かりやすくご紹介します。
平等寺の歴史から学びましょう!
まずは『因幡堂』の歴史から学びましょう!
『因幡堂』は因幡(現在の鳥取県)の国司(こくし※国の行政官として中央から派遣された官吏)であった『橘行平(たちばなのゆきひら)』によって創建された寺院で、正式には『平等寺』といいます。
997年(長徳3年)、任務を終えて京都に帰る途中の『橘行平』は帰路の途中に急病となり、平癒のため神仏に祈り続けました。
ある夜、夢に異形の僧があらわれ『因幡国賀留津の海中に1つの浮き木があり、それを供養すれば病気が治る』とのお告げを受け、早速、人を集め海底を探索したところ、身の丈五尺余り(約165cm)の薬師如来像を見つけました。
そして、供養する草堂をこの浦に建て、薬師如来像を祀りました。
これが因州(鳥取県)高草郡大字菖蒲浦の『座光寺(ざこうじ)』です。
その後、病もすっかり平癒して帰京した『橘行平』はまたもある夜、僧が『東の国の人々を救うために来た』という夢を見ます。
そして『橘行平』がその夢から覚めたところに、「因州の僧だ」と名乗る者が屋敷を尋ねてきたそうです。
門を開けるとそこには因幡で供養した薬師如来とそっくりな尊像が立っており、1003年(長保5年)その像を安置して、屋敷を改造して作ったお堂を『因幡堂』と名付けたのです。
ご本尊となった薬師如来像は、嵯峨釈迦堂の釈迦如来、信濃善光寺の阿弥陀如来とともに、『日本三如来』と呼ばれています。
『因幡堂』は、京都十二薬師霊場や、京都十三佛霊場、洛陽三十三観音霊場の札所になっているので、巡礼者も多く訪れます。
歴代の天皇もご尊崇が厚く、ご即位ごとに祈祷し、また『薬師もうで』といい、勅使の御月参りもありました。
平等寺の見どころ
それでは境内の見どころをご紹介します。
境内は、それほど広くありませんが見どころ満載ですよ。
本堂|日本三如来様でがん封じのご利益あり!
こちら現在の本堂は明治19年に再建されたものです。
本堂はとても大きいですよ。
『東の国の人々を救うためにやってきた』という因幡の薬師如来。
病気平癒や子授け、安産の仏様としても多くの人々に親しまれていますが、特に『がん封じ』のご利益を求めてお参りに来られる方が多いのが『因幡堂』の特徴です。
ではなぜ“
『がん封じ』の薬師如来として信仰されているのか?
それは医療も十分に発達していない時代、不治の病として恐れられていた『癌』を患った人々の多くが最後に因幡薬師にすがったことから、がん封じの薬師如来として現在まで伝わってきているのだそうです。
毎月8日には薬師護摩を焚き、癌封じの祈願をされています。
正面には『薬師如来像』、右手には『弘法大師像』、『地蔵菩薩像』、左手には『毘沙門天立像』、『大黒天坐像』、『弁財天坐像』がございます。
こちらは本堂前にある鬼瓦です。
因幡堂の『鬼瓦』といえば狂言の曲目としても有名なんですよ。
今から130年前の鬼瓦だそうで、鬼面ではなく経の巻と呼ばれる鬼瓦なのです。
真ん中の紋は因幡堂のもので菊のまわりを橘が巻く図柄だそうですよ。
観音堂|現世と来世の安楽が得られる
本堂に向かって左側に『観音堂』があります。
洛陽三十三所観音霊場『第二十七番札所』である観音堂です。
対になった十一面観音像で北野天満宮から東寺を経て平等寺に来られたそうです。
歓喜天|真剣に信心すればご利益大
観音堂の右に並んでいるお堂は『歓喜天』です。
『歓喜天』は怖い神様だが真剣に信心すればご利益も大きいとされています。
地蔵菩薩堂|人々の苦しみを救う
こちらも『観音堂』の右に並ぶお堂『地蔵菩薩堂』です。
『地蔵菩薩』はすべての生き物を救うといわれている菩薩で、庶民に親しみをもって信仰されてきた仏の第一であるといえます。
十九所権現|神様のスターが勢揃い!
更に奥には『十九所権現』と称するお社があります。
『因幡堂』は、後白河法皇の信仰が篤く、御幸したある時、法皇が住職に平等寺の鎮守はいかなる神かをたずねたところ、『武内宿禰(たけのうちのすくね)』と答えると、法皇は『生身の如来護衛の神には武内宿禰だけでは力不足』と言い、十八所の神々を院宣により勧請(かんじょう)しました。
さらにある人の夢枕に西宮夷の嫡子である一童御前が立ち、我もここの擁護の神に入るとおっしゃりました。
そのことを住職が法皇に告げたところ許可されたので、その後、彼も入れて十九所の神々が鎮守になり、十九所となりました。
十九所は以下の通りです。
天照大神、八幡、春日、賀茂、祇園、愛宕権現、松尾、熊野、北野、山王、住吉、摩利支天、妙音、弁天、白鬚、多賀、平野、御霊、蛭子(一童御前)。
皇室・摂関家のご先祖や非業の死を遂げた祟り神も含め、日本とインドの大スターたちがボディーガードになっています。
それだけここの薬師如来が大切な存在だというわけですね。
19は『いく』に通ずることから心願成就のご利益を授けてくれるそうです。
これだけの神さまが祀られているのですから、お参りしておけば、何かしらのご利益を授かれそうですね。
また、『十九所権現』の隣にはご神木もあります。
中の神木をさわると元気をいただけるそうですよ。
『樹は木に通ず』といわれています。右側に『阿樹 女』、左側に『吽樹 男』があり、お堂の中の神木に左右の壁に穴が開いていますので直接触れます。
閻魔天|健康と長寿を司る!
更に奥に進むと『閻魔天』がおられます。
『閻魔さま』は、嘘をつくと舌を抜かれることで有名ですが、密教では除病、息災、延寿を祈ります。
因幡堂の御本尊である薬師如来様とともに、健康と長寿を司られているのです。
正面で膝を屈め、下から拝むとお利益をいただけるそうですよ。
がん封じのお守りと人気の御朱印帳
こちらが人気の『塗香(ずこう)がん封じ』です。
古来より、楊貴妃や僧侶も使用し、日本現存最古の医薬書『医心方』に掲載されている不老長寿のお香『体身香』を薬師如来の塗香として現代に再現したものです。
使用し続けることで功徳があるとされています。
5日目:身体から香気(こうき)を発する
10日目:衣服から香気を発する
30日目:香気により人を魅了し、併せてあらゆる病を沈めた
『因幡堂』のお守りといえばがん封じが有名ですが、近年はとてもかわいらしい小鳥のお守りが注目を集めています。
無病息災祈願のお守りは、文鳥やインコなど小鳥のデザインです。
無病息災、がん封じのお守りとして『病が飛び去るように…』、『幸せが飛んでくるように…』という願いから インコお守りが人気なのだそうです。
御朱印帳もインコのデザインで、小鳥好きの間で大人気を博しています。
御朱印帳は限定品の干支柄もあり、こちらは売り切れ次第終了となっています。
御朱印|87枚目の御朱印を頂きました!
こちらが『因幡堂(平等寺)』の御朱印になります。
料金は300円です。
アクセス|京都の中心地・四条烏丸からほど近い
京都市営地下鉄烏丸線『四条』駅下車:徒歩約3分(240m)
京都市営地下鉄烏丸線『五条』駅下車:徒歩約4分(350m)
阪急電車『烏丸」駅下車:徒歩約6分(500m)
市バス『烏丸松原』下車:徒歩約3分(190m)
因幡堂(平等寺):〒600-8415 京都府京都市下京区因幡堂町728
まとめ|祈祷の9割がガン封じのお寺!
境内は小さなお寺ですが、1000年以上もの間、庶民に愛され、たくさんの病気の人を救ってきた因幡薬師如来様。
癌封じが有名で全国からも多くの方が参拝に訪れています。
病気に悩む方、病気を防ぎたい方も、日本三如来である『因幡薬師如来様』にご利益を求めて参拝されてはいかがでしょうか。