平成16年に『高野山参詣道』と共に世界遺産に登録された『丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)』は強力なパワースポットであることで数多くの参拝者が訪れています。
『丹生都比売神社』は神仏習合の始まりの神社として知られており、弘法大師・空海が新たにお寺を開くときに高野山で開創する許可をくださった神様をお祀りしています。
今回はそんな『丹生都比売神社』の歴史から見どころまで分かりやすくご紹介します。
丹生都比売神社の歴史
まずは『丹生都比売神社』の歴史から学びましょう!
『丹生都比売神社』の創建は不明だそうですが、『播磨国風土記』によれば、約1700年前に神功皇后の三韓征伐の時に『丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ)』から『石坂比売命(いわさかひめのみこと)』に御神託があり、赤土をお供えした事で勝利に導かれたとして、この地に神様をお祀りしたと書かれています。
また、丹生都比売神社は、真言宗の開祖である弘法大師・空海が、高野山に金剛峯寺を建立する時に御神領を貸し与えたことでも知られています。
『金剛峯寺建立修行縁起』という古文書には、817年空海は2匹の犬と狩人に導かれて大和国から紀伊の国に入ったと書かれています。
弘法大師空海が唐の国から帰ってきて40歳を過ぎた頃、真言密教の教えを広めるため、根本道場の地を探し求めていました。
各地を渡り歩いていたとき、黒と白の2匹の犬を連れた猟師に出会います。
猟師は『あなたが探している場所は、紀伊の山中にある』と教えてくれ、2匹の犬を案内役につけてくれました。
ある山の麓までくると丹生都比売大神が姿を現し、広大な土地を譲ってくれることになります。
それが真言密教の聖地となる高野山です。
実はあの時の猟師は、丹生都比売大神の御子であられる高野御子大神(たかのみこのおおかみ)だったと分かり、空海は二柱の神様に感謝し高野山の守護神としてお祀りしました。
その為、金剛峯寺をお参りする前には、丹生都比売神社を参拝するという習わしがあったほど、高野山と深い関わりがある神社なのです。
丹生都比売神社は、高野山の守護神として、古くから人々に崇拝されてきました。
全国に180以上あるとされる丹生都比売大神を祭る神社の総本社で、2004年には国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に『紀伊山地の霊場と参詣道』として登録されました。
丹生都比売神社の見どころ
それでは『丹生都比売神社』の見どころを鳥居から入って順にご紹介していきます。
外鳥居
こちらは両部鳥居の様式の『外鳥居』です。
両部鳥居とは、本体の鳥居の柱を支える形で稚児柱(稚児鳥居)があり、その笠木の上に屋根がある鳥居のことを言います。
さらに、名称にある両部とは、密教の金剛・胎蔵に由来する命名で、神仏習合が盛んだった神社によく見られます。
輪橋|淀君が寄進
外鳥居をくぐった先にある『輪橋(りんきょう)』です。
神様が渡るための神橋ですが、参拝者も渡ることができます。
『輪橋』は鏡池に架けられた、豊臣秀吉の側室・淀君が寄進した橋と伝えられています。
鏡池
こちらは『鏡池』です。
不老長寿になった『八百比丘尼(やおびくに)』という尼僧は池にその姿を映し、年老わない自分を嘆き鏡を投げ入れたと伝わっている池です。
禊橋・中鳥居
こちらが『禊橋』と『中鳥居』です。
ちなみに『中鳥居』も『外鳥居』と同様に両部鳥居となっています。
大正6年に焼失したものが、 平成22年10月16日に再建されました。
楼門|重要文化財
『中鳥居』をくぐった先にあるのが『楼門』です。
1499年(室町時代)に建立された入母屋造・檜皮葺きの楼門で、本殿とともに重要文化財です。
一般のご参拝はこの楼門前からとなります。
本殿
こちらが『本殿』になります。
一間社春日造(いっけんしゃかすがづくり)という神社建築様式で建てられた『丹生都比売神社』の本殿は、国内最大級の規模といわれています。
【第一殿】丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ):別名ワカヒルメノミコトと呼ばれ、伊勢神宮に祀られる天照大御神の妹神様
【第二殿】高野御子大神(たかのみこのおおかみ):空海を高野山に導いたことから、人生の幸福へ導いてくれる神様
【第三殿】食都比売大神(おおげつひめのおおかみ):あらゆる食べ物に関する守り神様
【第四殿】市杵島比売大神(いちきしまひめのおおかみ):財運と芸能をつかさどり、七福神の弁天様
【若宮】行勝上人(ぎょうしょうしょうにん※鎌倉時代に同社の発展に尽力した真言宗の僧侶)
写真右から順にお祀りれている祭神は総称で『四所明神(ししょみょうじん)』と言われています。
丹生都比売大神のご利益は『災い除け』、『不老長寿』、『病気の回復』、『農業の守り神』などのご利益が期待できると言われており、高野御子大神は『幸福への導きの神』とも呼ばれるほど幸福にご利益があり『無病息災』、『学業成就』などのご利益が期待できます。
また、大食都比売大神は、その名前の通り『あらゆる食物に関する守り神』として知られているため、食に関するご利益があります。
最後に、市杵島比売大神は『財運と芸能の神』であり七福神の弁天様として知られているため、『恋愛成就』、『良縁』のご利益が期待できます。
大峯修験者の碑
境内の奥にある石柱四基は修験者(山伏)が、 大峯入峯に際し建てた記念碑で最も古いものの一つで、県指定文化財になっています。
光明真言曼陀羅碑・脇ノ宿石厨子
写真中央にある『光明真言曼陀羅碑(こうみょうしんごんまんだらひ)』は1662年(寛文2年)に建立され、正面の円形の部分に中央下より、時計の針の進む方向に梵字で光明真言が、背面には多くの僧名が刻まれています。
写真左端にある『脇ノ宿石厨子(わきのしゅくいしずし)』は内部には葛城修験の御本尊 『役の行者』の石像が安置されています。
佐波神社
こちらが境内にある『佐波神社(さわじんじゃ)』です。
明治時代に上天野地区の諸社を合わせてお祀りされています。
授与所|面白いくじがたくさん!
こちらが授与所で御朱印を頂けます。
『日本の神話おみくじ』という、大吉など吉凶の表示がなく、引いて選んだ神様の物語から、今の自分に必要な事が示されるという、ちょっと変わったくじがあります。
天照大御神様を始めとして、古事記に登場する神様(全20柱)からの占い分が記されています。
他にも人気のおみくじといえるのが『みちびき犬みくじ(500円)』です。
ご祭神である『高野御子大神』のお使いの犬が、じつは白犬と黒犬。
この2頭が、弘法大師を高野山に導いたとされ、おみくじはこの故事にちなんだものです。
おみくじを取り出したあとは、お部屋に置いておくと、この『導き犬』が、仕事・勉学・恋愛などよい方向に導いてくれるということです。
絵馬もワンちゃんですね!
二ツ鳥居|空海が建立した!
こちらが『丹生都比売神社』の境内から山道を登って行った先にある『二ツ鳥居』です。
こちらへは徒歩で30分ぐらいはかかるので、生半可な気持ちで行くとかなり疲れますよ。
819年(弘仁10年)5月3日に『弘法大師空海』が丹生都比売大神、高野御子大神を高野山に勧請した時に木材で建立したと伝わっています。
昔々の平安の時代、高野山への参詣には弘法大師空海が建立した二ツ鳥居をくぐって、丹生都比売神社を参拝してから向かったんだそうです。
御朱印|106枚目の御朱印を頂きました!
こちらが『丹生都比売神社』の御朱印になります。
初穂料:300円
アクセス|電車で行く際はバスの時刻を要チェック
JR和歌山線『笠田駅』下車:かつらぎ町コミュニティバス(天野コース、丹生都比売神社行)で終点『丹生都比売神社』バス停下車すぐ(バスで約30分)。
JR笠田駅前よりタクシーで15分
第一駐車場と第二駐車場があり、50台駐車可能です。
駐車料金は無料です。
丹生都比売神社:〒649-7141 和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野230
まとめ|世界に誇るパワースポット神社!
『丹生都比売神社』は如何でしたでしょうか?
アクセスするには少々不便な場所にある『丹生都比売神社』ですが、その分、時代を超えて旅してきたかのような不思議な感覚になります。
和歌山県一、いや高野山との相乗効果で世界に誇るパワースポット神社なのではないでしょうか。
神仏習合の始まりの神社として、毎年多くの参拝客が訪れており、様々なご利益があることで人気と信仰を集めています。
是非一度、『丹生都比売神社』に足を運んでみては如何でしょうか。