和歌山県かつらぎ町にある丹生酒殿神社(にうさかどのじんじゃ)。この神社の境内に鎌八幡宮はあります。
高野山のふもとにあり、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部にも指定されているこの神社を訪れる参拝者の多くは、実は境内社である鎌八幡宮をメインに参拝に来る方が多いそうです。
鎌八幡宮といえば、ご神木に無数の鎌が刺さっていることで有名です。その異様な光景はおそらく目を疑うでしょう。
大阪にも同じくご神木に鎌を打ちつけるご祈祷で有名な「鎌八幡(正式名称:円珠庵)」といわれる縁切り寺がありますが、はたしてここも縁切りなのでしょうか?
今回はこの鎌八幡宮をどこよりも詳しくご紹介します!
まずは簡単に鎌八幡宮の歴史から
ここ鎌八幡宮は、弘法大師が高野山を開山した時に香川県の熊手八幡宮から高野山に勧進したといわれており、この地にまつられることになったそうです。
そしてその時に、元々ご神体としていた神功天皇が三韓征伐の際に使用した「のぼりと熊手」の依り代としてイチイガシの木をまつったのでした。
『紀伊続風土記』によりますと、イチイガシの木に鎌を打ちこむことで祈願成就を願うとあり、不思議なことに成就する場合は鎌がさらに深く食い込んでいき、叶わない場合はそのまま木から外れて落ちるとされています。
社殿はなく、鳥居とご神木があるだけでしたが、明治42年(1909年)に丹生酒殿神社に合祀され、境内社となっています。
鎌八幡宮|怖い光景!ご神木に無数の鎌が、、
ご神木であるイチイガシの木です。
最も多い時では約1000本近くもの鎌が打ちこまれていたそうです。
その時の様子は江戸時代後期に描かれました「紀伊国名所図絵」や「紀伊続風土記」にも描かれています。
https://chihirog.com/kamahachimangu/参照
このめちゃくちゃインパクトのある光景は「奉納百景」という本の表紙にも選ばれていますよ!
ご祭神
誉田別大神(ほむたわけのおおかみ)・・・応神天皇。日本書紀では誉田別尊(ほむたわけのみこと)とも呼ばれる。
気になるご利益|大阪の鎌八幡と同じく縁切り?
大阪の鎌八幡といえば縁切りで有名です。ここ鎌八幡宮でも、その異様な見た目から私怨による縁切りを願う方の参拝が後を絶たないのですが、実は鎌八幡宮で期待できるご利益はそういった縁切りではありません。
ここでの鎌打ち祈願は「荒打鎌」と呼ばれており、そのご利益は
無病息災、子宝、受験合格です。
いわば病との縁切りなどにはご利益が期待できますが、決して他人への恨みや縁切りを叶えるものではないようです。
この木に刺さった鎌は、願いが叶う場合は鎌が深く刺さっていき、叶わない場合はおのずと抜け落ちてしまうそうです。地面に落ちてしまっているいくつかの鎌は、そうした私怨による縁切りの願いが叶わなかったものかも知れませんね。
鎌八幡宮の呪い?
その昔、鎌を打ちこむ姿を人に見られると願いが叶わないといわれていたため、祈願に訪れる人々はまるで丑の刻参りなどの呪術のように深夜などに鎌打ちをおこなっていたそうです。
そんな参拝方法が災いしてか、かつてここでは呪いが関係しているような事件がありました。それは明治維新の神仏分離令にともない、ここから少し離れたかつらぎ町の兄井という場所へ鎌八幡宮を移そうとした時のことでした。
その時に、それまでにご神木に打ちこまれた鎌を抜き取り、新しいご神木へと打ち直そうとしたそうですが、、
なぜかその作業に就いた人は、次々と事故や病などで命を落としていったそうです、、。
これはそれまでに鎌八幡宮に鎌を打ちこみ祈願してきた人々の呪い、もしくは強い念などによるものなのでしょうか?
なんとも恐ろしい話ですね!
その後、明治42年に再びこの地に遷座されました。
丹生酒殿神社も一緒に参拝しましょう!
鎌八幡宮は丹生酒殿神社の本殿の裏にある境内社です。
せっかくここに来たんですから丹生酒殿神社でも参拝して帰りましょう!
ここにまつられている主祭神は
丹生都比売大神(にゅうつひめおおかみ)・・・ 天照大神の妹神
高野御子大神(たかのみこのおおかみ)・・・丹生都比売大神の子にあたる神
丹生都比売大神は「丹生明神(にうみょうじん)」とも呼ばれ、なんと高野山の守護神とされていますよ!
丹生酒殿神社の名前の由来は、丹生都比売神がこの地に降臨した時、地主神の竈門明神(かまどみょうじん)が酒を造り、初めて神前に供えた事に由来するという説や、丹生都比売大神が近くを流れる「紀の川」の水でお酒を醸造したという説に由来しているともいわれています。
鳥居をくぐるとすぐに大銀杏(おおいちょう)があり、秋には一面が黄色に染まるそれは綺麗な光景が見られることで、カメラを持った参拝者が多く訪れる人気のスポットになっていますよ!
他の見どころとしては、世界で初めて全身麻酔による乳がん手術に挑んだ華岡青洲が天保5年(1834年)74歳の時に寄進した石灯篭があります。
丹生酒殿神社の御朱印・・・書き置きで初穂料300円。お賽銭箱に奉納します。
厄除け祈願や交通安全など、各種祈願・・・5000円~からしていただけます。
*ただし祈祷は毎月1日、15日のみで、祈祷を希望される際は10日前までに申し込む必要がありますのでご注意ください。
基本情報|丹生酒殿神社・鎌八幡宮
住所 〒649-7133 和歌山県伊都郡かつらぎ町三谷631
営業時間 24時間
拝観料 無料
絵馬 500円
問い合わせ先 0736-22-030(かつらぎ観光協会サイト)
アクセス|専用駐車場もあり!
最寄り駅・・・JR和歌山線「妙寺駅」から徒歩約30分
車・・・「紀北かつらぎIC」から約10分ほど。高速道路「阪和自動車道和歌山IC」からは約1時間ほど。
専用駐車場があり、5台ぶん程のスペースがありますよ!
まとめ|和歌山の鎌八幡は怖い?
いかがでしたでしょうか?
大阪の有名な縁切り寺と同じように、ご神木に鎌を刺して祈願はしますが、ここでのご利益は縁切りではありませんので参拝する方はご留意くださいね!
また、参拝時期としては、上の写真のように紫陽花(あじさい)の綺麗な6月下旬〜7月を狙っていくもよし、秋には丹生酒殿神社の大銀杏もとっても綺麗でおすすめですよ!
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