京都の中心部に、あの聖徳太子が創建した六角形の珍しい形をした『頂法寺』、別名『六角堂』があります。
ここは縁結びのご利益があるということで、一年中多くの参拝客で賑わっています。
今回はそんな『六角堂』について、分かりやすくご紹介したいと思います。
六角堂の歴史から学びましょう!
まずは『六角堂』の歴史から学びましょう!
587年(用明2)、聖徳太子が16歳の時、『四天王』を安置するお寺(四天王寺)を建立する為、材木を探し求めて京都に来ました。
その旅の疲れを癒やすために、きれいな池があったので、聖徳太子は身を浄めようと、常に持ち歩いていた持仏の『如意輪観音像(にょいりんかんのん)』を木の枝の間に置くと、観音像は重く動かなくなり『この地にとどまって人々を救いたい』と聖徳太子に伝えたとされています。
そこで聖徳太子はこの地に六角形の御堂を建て護持仏『如意輪観音像』をご本尊として祀ったといわれています。
『紫雲山頂法寺(しうんざんちょうほうじ)』と号する寺で、本堂が『六角宝形造(ほうぎょうづくり)』であることから、一般に『六角堂』の名で人々に親しまれています。
早くから人々の崇敬を受け、822年(弘仁13年)には嵯峨天皇の勅願所(ちょくがんしょ※時の天皇・上皇の勅命により、鎮護国家・玉体安穏などを祈願する神社)となり、また996年(長徳2年)には花山法皇の御幸(みゆき※天皇が出かけること)があり、西国33箇所観音霊場(現18番の札所)となったと伝えられていまする。
1201年(建仁元年)、親鸞聖人が当寺に100箇日間参籠して霊告を受け、後に真宗を開宗する根源となりました。
江戸時代末までは、日本を代表する祭礼の一つ『祇園祭の山鉾巡行(やまほこじゅんこう)』の順番を決めるくじ取り式も『六角堂』で行われていたそうです。
これらのことから、『六角堂』は京都の中心と認識されるようになりました。
六角堂のご本尊と期待できるご利益
ご本尊
ご本尊は聖徳太子ゆかりの5.5㎝の『如意輪観世音菩薩(にょいりんかんぜのんぼさつ)坐像』で、秘仏のため内陣の厨子(ずし※仏像・仏舎利・教典・位牌などを中に安置する仏具の一種である。)の中に安置されています。
厨子の左側に毘沙門天像(重要文化財)、右側に不動明王像が安置されています。
期待出来るご利益
ご本尊の『如意輪観世音菩薩』はその名前の『意の如く』、思いのままに願い事をかなえてくれる『宝珠(如意宝珠)』と、魔を打ち砕く『輪宝(法輪)』を持っておられる観音様です。
人々の苦しみを除き、願いをかなえ、特に、延命長寿、病気平癒、子宝授け、安産、魔除けなどのご利益があるとされています。
また、『六角堂』は『華道発祥の地』ということもあり、技芸上達にご利益があると全国から参拝に来られます。
境内の見どころ
それでは境内の見どころをご紹介します。
山門前の通りは『六角堂』にちなんで『六角通り』といいます。
本堂|六根清浄を願う
山門を入るとすぐ正面が本堂です。
数えられるだけでも18回もの災害に遭っていますが、その度に町衆の力で再興されてきました。
現在のの本堂は1877年(明治10年)に再建されたものです。
ちなみに『六角』とは、六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)によって生ずる六欲のことで、その六根により心に煩悩が生じてしまいます。
心の角をなくして穏やかでいるために、六角形の角と角とをつなぎ合わせることで円満で幸せな生活が送れるのだそうです。
つまり『六根清浄(ろっこんしょうじょう)を願う』という祈りを込めた形だということです。
本堂の裏|多くの仏像が安置されてます
また、本堂の裏側にも多くの仏像が安置されており、小窓から拝む事が出来ます。
是非、こちらにも参拝しましょう!
本堂を上から見れる
隣接する10階建てのビル『WEST18』から『六角堂』の全景を見ることが出来ます。
最上階からの眺めになりますが、こちらの施設には展望台は無いですよ。
縁結びの六角柳|恋愛のパワースポット
本堂前にある柳は『六角柳』と呼ばれ、ここは『恋愛のパワースポット』として人気になっています。
平安時代初期の頃、妃を探していた嵯峨天皇はある夜、不思議な夢を見ました。
如意輪観音が現れ、『六角堂の柳の下を見てみなさい』と告げられたのです。
さっそく帝が六角堂に使いの者を行かせると、境内の柳の下にこの世の人とは思えないほど美しく、良い匂いのする女性が立っていた。
この時代は良い香りがする女性が、美人の条件の一つでもあり、天皇はその女性を妃に迎え、寵愛したといいます。
この話から、『六角堂の柳に願をかけると良縁に恵まれる』とか『恋が成就する』といった噂が広まり、『縁結びの六角柳』と呼ばれ信仰されるようになりました。
『縁結びの六角柳』の枝2本を一緒に、おみくじを結んでおくと縁結びの御利益があるといわれています。
是非お試しあれ!
へそ石|京都の真ん中
こちらは本堂前にある『へそ石』です。
この石は江戸時代あたりから京の都のど真ん中、へそにあたると言い伝えられてきました。
794年(延暦13年)の平安遷都の際、『六角堂』は大通りの塞いでいたため、都市開発に支障をきたしたので、桓武天皇は使いを呼んで『どうか、南北のいずれかにお移りいただきたい』と祈願しました。
『六角堂』の僧侶たちが困っていると、にわかに黒雲が立ち込めて寺を覆い、一瞬にして六角堂全体が北へ約15m移動し問題が解決したというのです。
その時に礎石(そせき※建造物の基礎となる石)を1個だけ、元の場所に置き忘れたのが、この『へそ石』だと言われています。
当時は、門前の道路にあり、ちょうど京都の真ん中でもあったので『京都の中心』、『へそ』、『かなめ』として民衆の目印になっていました。
その後、『へそ石』は六角堂の東門前から、境内の現在地に移されました。
この『へそ石』もパワースポットの一つとして注目されております。
石不動
境内入ってすぐ左手には、『不動明王』の石像と木像をそれぞれ安置する堂が隣接して建っています。
お地蔵さん|願いを叶えてくれる
境内に左手には多くのお地蔵さんが安置されています。
京都御所を守るために北を向いている『北向地蔵』、小さな子供を守ってくれる『わらべ地蔵』、『地蔵山』と呼ばれるお地蔵さんの群像があります。
聖徳太子沐浴の古跡|いけばな発祥の地
こちらは本堂の裏側にある『聖徳太子沐浴の古跡』と伝えられる場所です。
当時このあたりにあった池に太子が入り、身を清めたと伝えられています。
この池のほとりにあった僧侶の住坊があり、そこは『池坊』と呼ばれるようになりました。
聖徳太子に仕えていた小野妹子が出家してここに入ったといわれています。
室町時代、六角堂の執行(しぎょう)として寺の実務を担っていた池坊は、専慶(せんけい)・専応(せんおう)らがいけばな成立期において大きな活躍を見せ、華道家元の地位を確立していきました。
執行は現在の住職にあたり、家元とともに代々池坊が務めています。
華道の家元・池坊(いけのぼう)が住職を務めたことから『いけばな発祥の地』としても知られています。
太子堂|聖徳太子をお祀り
『聖徳太子沐浴の古跡』の横には朱色をした『太子堂』、またの名の『開山堂』があります。
ここには『六角堂』を創建した聖徳太子をお祀りしており、内部には『南無仏』と唱え合掌する太子の二歳像、父である用明天皇の病気平癒を祈る十六歳像、そして物部守屋と戦った姿を表す太子騎馬像が安置されています。
平安時代以降、『六角堂』を一つの拠点として京都に太子信仰が広まっていきました。
聖徳太子の騎馬像は他ではあまり見れなく珍しいとされています。
十六羅漢|ニコニコした羅漢さん
本堂の右手には『十六羅漢様』がおられます。
この羅漢様は、『和顔(わげん)愛語(あいご)』を実践し、いつも『ニコニコ』されています。
『十六』というのは方位の『四方八方』の『八方』を倍にした『十六』で、あらゆるところに羅漢さんがいるという意味があると書いてありました。
一言願い地蔵|欲張らず願い事は一つ!
境内の右手には、一つだけ願い事を叶えてくれる『一言願い地蔵』がいらっしゃいます。
『一言願い地蔵様』は少し首を傾げて、お参りに来られた方の願いを叶えてあげようかどうしようかと考えておられます。
願いを聞き届けて頂けるかどうかはあなたの信心次第という事なので、欲張らず一つだけ願い事をしましょう!
親鸞堂|親鸞の百日参籠
こちらは境内の右手にある『親鸞堂』です。
親鸞は鎌倉時代の初めの1201年(建仁元年)、29歳の時、『六角堂』に百日参籠(さんろう※神社・仏寺などに、ある期間籠もって祈願すること)するという誓いを立てました。
聖徳太子を深く尊敬していた親鸞は、京都における太子ゆかりの寺院として、六角堂に思いを寄せたのです。
参籠は、夜になると比叡山を下りて『六角堂』に籠もり、朝には山に戻る繰り返しだったといいます。
そして九十五日目の暁に『如意輪観音』からお告げを受け、浄土真宗を開くきっかけを得たことにちなみ、親鸞の像が二体安置されています。
一体は草鞋を履いて比叡山から六角堂へ向かうお姿で、もう一体は六角堂に籠もって『如意輪観音』から夢の中でお告げを受けているお姿です。
親鸞の参籠
向かいには親鸞の大きな銅像があります。
比叡山に向かう時のお姿なのでしょうか。
唐崎社|八坂さんと天満さんと合祀!
こちらは境内の右奥にある『唐崎社』で、『六角堂』の鎮守です。
ご祭神の『唐崎明神』は『唐崎の松』で有名な琵琶湖畔にある『唐崎神社(からさきじんじゃ)』の神様です。
社殿には、『祇園社(八坂神社)』と『天満宮(北野天満宮)』の神様が合祀されています。
鐘楼
境内の外にはなりますが、道を挟んだ向かい『鐘楼』があります。
戦国時代、京都に戦乱の危機が迫ると、六角堂の鐘がつかれたという記録が残ってるらしいです。
鐘は第二次世界大戦時の金属供出で失われましたが、1954年(昭和29年)に再鋳されました。
2019年(平成31年)に、本堂及び拝堂とともに京都市指定有形文化財に指定されました。
御朱印|61枚目の御朱印を頂きました!
『六角堂』でもらえる御朱印には4種類あります。
写真は『西国三十三所観音霊場』の御朱印になります。
アクセス|京都の観光地のど真ん中!
電車の場合
京都市営地下鉄 烏丸線・東西線『烏丸御池駅』下車:徒歩約3分
京都市営地下鉄 烏丸線『四条駅』下車:徒歩約7分
阪急京都線『烏丸駅』下車:徒歩約7分
京阪本線『三条駅』下車:徒歩約20分
バスの場合
市バス『烏丸三条』バス停下車:徒歩約2分
市バス『四条烏丸』バス停下車:徒歩約4分
市バス『烏丸御池』バス停下車:徒歩約6分
六角堂(頂法寺):〒604-8134 京都府京都市中京区堂之前町248
まとめ|縁結びのパワースポットとして注目!
『六角堂』は如何でしたでしょうか?
『いけばな発祥の地』、『京都の中心』、『聖徳太子ゆかりの地』などと、境内は小さいですが見応えは充分です。
京都の中心である『六角堂』を参拝してみましょう!
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