『月読神社』は京都最古の神社『松尾大社』の摂社ですが、独立した神域を持ち、舞殿、本殿に社務所まであり、神秘の雰囲気を漂わせながらひっそりと、でも荘厳に鎮座しています。
場所は『松尾大社』から歩いて10分弱の所ににあり、『安産守護のお社』として古くから親しまれてきました。
今回はそんな『月読神社』の歴史から見どころ、ご利益まで分かりやすくご紹介します。
月読神社の歴史から学びましょう!
まずは『月読神社』の歴史から学びましょう!
日本書紀によると、顕宗天皇(けんぞうてんのう※日本の第23代天皇)3年(487年)、『阿閉臣事代(あえのおみことしろ:あべのおみことしろ)』が勅命で『任那(みまな※ 四世紀から六世紀にかけて朝鮮半島南部に興った小国家群)』へ遣われる際に、壱岐で『月読尊(つきよみのみこと)』が人に神懸りし『我が祖、高皇産霊(たかみむすひ)は天地創造の功がある。民地を以て我を奉れ。請うままに献じれば福慶(ふくけい※めでたいこと)がある』と語りました。
阿閉臣事代はこれを天皇に奏上し、山城国葛野郡歌荒樔田(うたあらすだ)に神領を賜り壱岐の『月読神』が勧請(かんじょう※分霊を他の神社に移すこと)され、『天月読命(あまのつくよみのみこと)』が祀られます。
これが『月読神社』の始まりとされています。
斉衡(さいこう)3年(856年)、水害を避けて現在の松尾山麓の現在の地に移ったとされます。
独立の神社であったが、松尾大社の影響を受け「松尾七社」の一つとして、明治10年には境外摂社と定められた。
月読神社の見どころ
それでは境内の見どころをご紹介します。
本殿|子授け・安産のご利益
こちらが本殿になります。
ご祭神は『月読尊(つきよみのみこと)』を祀っています。
『月読尊』というと、普通は『伊邪那岐命(いざなぎのみこと)』の禊で生まれた『天照大神・月読尊・素戔嗚尊』の三貴子を思い浮かべますが、こちらは、この系譜とは異なる『月読尊』が祀られています。
日本書紀には、海人族の壱岐氏によって奉斎された『高皇産霊(たかみむすび)』を祖とする『月神』が登場し、先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ※日本の史書であり、神道における神典)にも、壱岐氏が奉斎する『天月神』が登場します。
社伝によると、こちらの『月読尊』は、この、海人族が奉斎する海の干満を支配する月の神とされているとのことです。
月の満ち欠けは、死と再生を表し、女性の周期でもあります。
このようなことから、子授け・安産のご利益が期待出来ます。
御船社|海上交通安全や水難よけのご利益
こちらは境内にある末社『御船社』です。
ご祭神は『天鳥船命(あめのとりふねのみこと)』で、海上交通安全や水難よけのご利益があります。
聖徳太子社|学問向上のご利益
こちらも摂社である『聖徳太子社』です。
月読尊を崇敬した聖徳太子が祀られています。
聖徳太子は『学問の神』であることから、学問向上のご利益があります。
解穢の水|全ての罪や穢れを祓ってくれる
こちらはご神水である『解穢の水(かいわいのみず)』です。
手を洗うことで、穢れが落ちると言われています。
飲むことはできないのでお祈りをしながら手にかけましょう。
全ての罪や穢(けが)れをはらってくれる水だそうです。
願掛け陰陽石|願いが叶う石
こちらは『願掛け陰陽石』という霊石では、二つの石が寄り添ったように埋まっています。
左右の石を撫でながら願うと、願いが叶うそうです。
月延石|安産や子宝祈願のパワースポット
こちらは『月読神社』で人気のスポット、安産・子授けのご神威がある『月延石(つきのべいし)』です。
この『月延石』は『安産石』とも言われ、伝承によると、臨月であった『神功皇后(じんぐうこうごう※日本の第14代天皇・仲哀天皇の皇后)』が新羅遠征の折に、この石を撫でて出産を延べて出陣をし、後に無事、『応神天皇(おうじんてんのう※第15代天皇)』を産んだという言い伝えから安産の神石として信仰されています。
後の『舒明天皇(じょめいてんのう※第34代天皇)』の時に『月読神社』に奉納されたという伝説があり、古来より安産を願ってお参りされる人が多い神社です。
また『月延石』という名から、月のものが延びる、即ち子宝を宿すということから、子授けの神石としても信仰されています。
安産祈願の方法ですが、まず社務所で『祈願石(1000円)』を拝受します。
『祈願石(1000円)』に名前を書いて、『月延石』へお供えします。
お供えする際に、『月延石』を撫でて力を頂きます。
現在では『戌の日』に安産の特別祈祷が行われ、祈祷後『祈願石』に名前を書き、『月延石』の前にお供えしてお参りをするという風習が残っています。
【安産祈願の場合】
・ご夫婦のお名前
・出産予定日
・お願い事(元気に産まれますように!など)
【子授けの場合】
・夫婦の名前
・お願い事(女の子が欲しいです!など)
むすびの木|縁結びや恋愛成就のご利益
『月延石』の隣に生えているのが『むすびの木』です。
『むすびの木』は3本の木が結びついているため、縁結びや恋愛成就のご利益があるそうです。
夫婦杉などはよく聞きますが、3本の細い木が途中で結ばれているのは珍しいと思います。
御朱印|85枚目の御朱印を頂きました!
『月読神社』で頂ける御朱印は1種類のみです。
『読』の字が旧字体になっていて素敵です。
アクセス|松尾大社から徒歩5分ぐらい!
阪急電鉄嵐山線『松尾大社』駅下車:徒歩8分(600m)
市バス/京都バス『松尾大社前』バス停下車:徒歩8分(600m)
『月読神社』にも『松尾大社』にも無料で停めれる駐車場があります。
月読神社:〒615-8296 京都府京都市西京区松室山添町15
まとめ|ご利益を得られるスポットたくさん!
『月読神社』は如何でしたでしょうか?
一見こぢんまりとした神社ですが、子授け・安産のご神徳の他にも、縁結び・恋愛成就の『むすびの木』、学問の神で聖徳太子を祀る『聖徳太子社』、海上交通安全・水難除『御船社』、自己の罪、穢れを除く『解穢の水』など、様々なご利益があります。
松尾大社の摂社で有名ではありませんが、京都でも最古の部類に入るほど歴史ある神社です。
一度、訪れてみては如何でしょうか。
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